最高裁判所第三小法廷 昭和27年(し)48号 決定 1953年4月07日
主文
本件特別抗告を棄却する。
理由
申立人の特別抗告申立の趣旨は、末尾添付の別紙書面記載のとおりである。
しかし、刑法五二条の法意は併合罪につき処断した判決の確定後その併合罪中の或罪につき大赦があった場合において、その宣告刑中大赦に当らない罪につき執行すべき部分を定めるに過ぎないものであって、大赦に当らない罪につき再度の審判をなす趣旨ではない。従って刑訴三五〇条所定の裁判所が刑法五二条により刑を定めるに当っては、判決確定後に刑の廃止または法令の変更があってもこれを考慮に容れるべきものでないことはいうをまたないところであって、これと同趣旨に出で異議申立を棄却した原決定はまことに正当である。されば右と異なる見解に立って原決定の法令違反を主張する論旨は理由がなく、従ってこれを前提とする所論違憲の主張も採用するに足りない。
よって刑訴四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)